別府大学の学生・円城寺健悠さん(19)の写真展「鉄輪の記憶」が6月4日、別府市の鉄輪温泉にあるチャレンジショップ「スクランブルベップ」(別府市井田4)で始まった。湯治場として栄えていた時代と現在の建物、人、生活を捉えた約30枚を並べ、鉄輪の移り変わりを分かりやすく紹介している。
円城寺さんは佐賀県出身。祖父から戦争体験の話を聞いて育ち、歴史に興味を持つようになった。高校入学後に「資料が残されているから振り返ることができる」と気付き、資料の査定、収集、整理、保存などを学べる同大の文化財学科に入学。独自に保存価値のある写真などを集め始めた。
写真展は、湯治場や蒸し釜の魅力を伝えるイベント「かんなわ蒸し通りずむ(ツーリズム)」のプログラムの一つ。「スクランブルベップ」を運営する菅野静さん(41)らの協力を受けて実現した。円城寺さんは「アウトプットするのは初めて。多くの人に応援してもらい、実現することができた。地元の人にかつての鉄輪の様子を見てもらいたい」と喜ぶ。
展示資料は鉄輪で文化活動を行う「愛酎会」、湯治宿「温泉閣」などから22点を借り受けた。「熱の湯」の値上げを知らせる掲示物の前に集まる湯治客、蒸し湯を楽しむ地元客、滝湯のあった「渋の湯」など主に大正時代にあった「日常」を紹介。現在の写真も並べて展示し、時代の流れを比較できるようにした。
円城寺さんは終日在廊予定。「何気ない日常こそ、歴史的な貴重な資料になる。資料を保存する大切さについても伝えていけたら」と話す。
開場時間は10時~18時。観覧無料。6月30日まで。問い合わせは円城寺さん(TEL 080-8571-9285)まで。