別府大学(別府市北石垣、TEL 0977-66-6262)の学生有志が、共同温泉「前田温泉」(別府市上人本町)の清掃を担い、温泉の存続と地域住民との交流に一役買っている。「いい風呂の日」の11月26日には管理・運営する別府八湯温泉道名人会と共に活動報告会を開き、学生以下の入浴を無料とするほかどら焼きを配布する。
別府市内には、地域住民が組合などを作り管理する共同温泉が80カ所以上ある。同会によると、近年は高齢化や生活形態の変化で多くの施設で番台や清掃を担う管理者や利用者が減り、運営難の状態にあるところが増えている。
前田温泉はJR別府大学駅と同大の間にある地域の温泉。人手不足などから9月末に休館する予定だったが、市からの打診を受けて同会が管理・運営を引き継ぐことになった。
10月に同大で開いた「温泉学概論」の講義で、同会の佐藤正敏理事長(48)が共同温泉の現状を伝えた上で前田温泉での清掃アルバイト協力を呼び掛けたところ、宮田風花さん(1年)らが名乗りを上げた。学生は指導を受けた後、10月上旬から清掃を開始した。
宮田さんは熊本県出身で「別府といえば温泉というイメージが強い。共同温泉に興味があった」と言う。「こびり付いた温泉成分を高圧洗浄機で剥がすとすっきりする」と話す。鹿児島県出身の市來友梨さん(同)は「ここに温泉があるのを知らなかった。地域の人とあいさつしたり話したりするのが楽しい」と笑顔を見せる。
同大温泉愛好会の円城寺健悠さん(2年)も番台役を引き受けるなどして協力。「BGMに昭和歌謡を流すと喜んでくれる。利用者の感謝の声がうれしい」
現在は10人以上が登録しており、シフトはSNSツールを共有して管理しているという。清掃代金は参加人数に関係なく1日1,000円。
26日は同温泉で11時から先着50人に「別府温泉大学オリジナルどらやき」を配布。11時10分から活動報告会を開く。学生以下(他大生含む)は入浴無料。佐藤理事長は「みんなしっかりしているので任せていて安心。今後も代をまたいで続けてほしい。別府の温泉文化を守る一つのモデルケースになれば」と話す。同大広報室では「この取り組みが地域住民や学生に浸透していけば」としている。