別府市にある日本最古の木造アーケード「竹瓦小路」(別府市元町)の完成100周年を祝うイベントが12月12日にアーケード一帯で開かれる。浴衣とスリッパで戦う温泉卓球、映画上映会、小路全体を一つの店に見立てた音楽イベントなどを行い、歴史を刻んできた路地の魅力をアピールする。
1921(大正10)年12月に完成。流川通りから竹瓦温泉までをつなぐ約60メートルの住居を兼ねた商店街で、ガラス張りの天井が特徴。昭和の最盛期は多くの市民や観光客でにぎわった。2009(平成21)年に国の近代産業遺産に認定された。現在は和菓子店、スナック、ワインバーなど9店が営業している。
イベントはアーケードが満99歳で100年目を迎えるに当たり「竹瓦小路通り会」が企画した。住人の水口洋さん(57)、店主の楢本司さん(62)と長谷川雄大さん(32)、デザイナーのチエミサラさんが発起人となり、「竹瓦小路100周年祭」として多様なイベントを午前中から日をまたいで3部構成で実施する。
竹瓦温泉前で、11時から記念式典を開催。温泉地ならではの卓球大会「ゆかたdeピンポン」を行うほか、カフェTAKEYAではハンドメイド作品を販売する「第6回竹瓦てづくりマーケット」を開く。フードやドリンクを提供するキッチンカーも並ぶ。
18時から映画監督の新田義貴さんと映画ライターの森田真帆さんによるトークセッションを開催。18時30分から新田監督作品の「歌えマチグヮー」を上映する。沖縄の商店街が歌や音楽をきっかけに再生する様子を収めたドキュメンタリーで、水口さんは「今の竹瓦小路にマッチした作品」と話す。
21時からは「TAKEGAWARA SOUND FACTORY with チエミサラ」を開く。各店がドアを開け放ち、来場者の行き来を自由にすることで小路自体を一つの店舗に見立てる。小路には屋台を並べるほか、全体にあかりを灯し、音楽も響かせる。
アーケードは年々老朽化が進んでおり、維持するための修繕が必要という。「来年の満100歳を前に今の竹瓦小路をたくさんの人に見てもらいたい」と水口さん。「当日は200周年目指す勢いで盛り上がりたい」と意気込む。
入場無料。入場時に新型コロナウイルス対策として検温を行い、名簿記入、消毒を呼び掛ける。