大分市のアーティスト・トマリアサミさんのインスタレーション展「サマトピア」がアートプラザ(大分市荷揚町3、TEL 097-538-5000)2階アートホールで開かれている。半透明シートにくるまれたオブジェ群が、去りゆく夏の一瞬を表現している。
宮崎県出身。主に演劇、映像、絵画などを手掛ける。2020年7月に大分市地域町おこし協力隊文化芸術振興部門に着任。ななせアートスタジオ(旧野津原中部小アトリエ)を拠点に活動している。この夏に野津原地区で開かれた周遊型展覧会「のつはるアートコレクション」にディレクターとして関わった。
個展は、若手アーティストに格安で展示スペースを貸し出す「ARTPLAZA Departure」を利用して開催。「夏の終わりのユートピア」をコンセプトに約20点のオブジェなどを展示している。
アトリエで空調工事が行われた際に目にした、室内保護用に使われたシート、テープ、ホース類などから着想した。「吹き込む風にシートが擦れ合いカサカサと音を立てた。その瞬間、忘れかけていた今年の夏を思い出した」
会場を一つの部屋に見立てて展開。ペットボトルで作ったソファ、ビニールプールで表現した風呂、植物を使った大型作品の全てを薄い半透明のシートで覆い、外とのつながりを示すホースを組み込んで設置した。トマリさんの代表作という立体「シアン」も床の一角を埋めるように置いている。
作品に触れることもできる。トマリさんは「コロナ、オリンピック、大雨と今夏は外出する機会が少なかったと思う。見て、触って、聞いて、この夏の何かを記録してもらえれば」と話す。
期間中、トマリさんか案内者から解説を聞くことができる。会場には展示の理解につながるキーワードを記したヒント集も置いている。入場無料。9月26日まで。