JR大分駅で、ホームの一角に設けていた喫煙室をアート空間に再活用する「大分ステーションギャラリー」が始まった。第1弾として大分県立美術館OPAMと大分市美術館が2つの乗り場にそれぞれ小さな美術館を開き、地域作家の作品を展示している。
喫煙室は4つのホームの高城駅側(東側)にあり、2020年4月1日の全面禁煙化まで使われていた。それぞれ約15平方メートルで高さは約2.5メートル。四方はガラス張りの仕様となっている。
「ステーションギャラリー」は、ホームに取り残された「好物件」を新生させる甲斐裕明駅長のアイデア。空間内に残っていたたばこの臭いを空気清浄で取り去り、「楽しめる」「元気が出る」「アート」をキーワードに、4つのうち2つを公的機関などに無償で貸し出すことにした。
3・4番線乗り場のギャラリーが大分県立美術館、5・6番線乗り場が大分市美術館で、9月24日にオープン。県立美術館は、阿部健太朗さんと吉岡紗希さんによる絵本作家・美術家ユニット「ザ・キャビンカンパニー」の「かんがえる こども」のパネル絵3点を出展した。市美術館家は、画家の北村直登さんが自身のアトリエをイメージしたというインスタレーションを展開している。ギャラリーに入ることはできないが、4方向からの観賞が可能。
甲斐駅長は「調べたところ同様の取り組みは見当たらなかった。全国的に珍しいのでは」と話す。残る元喫煙室の活用についても「電車のヘッドマークを展示するなど、鉄道が好きな人が喜ぶコーナーも作りたい」と意欲を見せる。
第1弾は来年3月までの予定で、展示内容は随時変えていくという。甲斐駅長は「駅は、2つの美術館の間にある。3者がつながって芸術の香りがする街になれば」と話す。