黄色に熟したカボスの収穫が、11月中旬から臼杵市の農園などで行われている。完熟ならではのうま味を含んだ果汁を主に飲料用などに加工する。
緑色のカボスは大分県の特産品。料理の味わいを引き立たせる爽やかな香りが特徴。ハウスや露地もの、貯蔵ものなどがあり、通年出回っている。全国生産量は9割以上を占める。
露地栽培で収穫できなかった実は、10月中旬から色が変わり始め、木に付いたまま熟す。緑色の果実よりも酸味は抑えられ、うま味は増える。搾汁率も高く、大きさも1.2~1.5倍にとなるため、より多くの果汁を得ることができる。
一方で、商品価値を保持したまま広域流通させることは難しく、市場には出回らない。多くの農園で加工用に収穫したり、自然落下を待って土に返したりする。
JA全農おおいたでは毎年11月中旬から12月上旬にかけて、高齢化などで収穫が困難になった農園を訪れ、取り残した熟したカボスの収穫作業に当たっている。今年は11月18日から県内10カ所の農園を回り、飲料などの加工用に約20トンの収穫を見込んでいる。
11月24日は職員8人が足を運び、約40本の木から約1.5トンを収穫した。4、5人が脚立に上り、はさみで実を切り落とし、下で待ち受ける職員がへたの部分に残った枝を切り取り、コンテナに収納した。
近年は完熟したカボスのニーズが高まり、加工品を用いた酒や菓子などが次々と開発されている。JA全農おおいたでは「さまざまな商品が販売され、一般の人にも認知され始めた。企業などからも『果汁を使ってみたい』という問い合わせが増えている。緑カボスとは異なる形でさらに注目されれば」とする。