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大分市で修理中の府内城やぐら公開 瓦、土壁、骨組みに先人の技

「細の瓦」について説明を受ける参加者

「細の瓦」について説明を受ける参加者

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 大分市の大分城趾公園(大分市荷揚町4)で3月11日、保存修理中の県指定史跡「府内城宗門櫓(しゅうもんやぐら)」の見学会が開かれた。

屋根の形通りに並べられた瓦

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 市教育委員会事務局文化財課が、復元公開活用事業の一環として2017年度から工事を進めている同史跡。屋根瓦や土壁を取り除き、建物の構造などを確認できるようになったことから市民に紹介する目的で初めて見学会を実施した。

 同史跡は、1854年の安政の大地震で壊れ、1859年に再建された。木造の二重構造で高さは約7・5メートル。1963年に県指定史跡となった。県内に残る江戸時代の城郭建築物は、同史跡と府内城北側の人質櫓を含む6カ所のみ。2006年ごろに瓦と接着剤代わりの土の重みによる屋根の破損などを確認、現状調査を重ねた後、2015年度に保存修理の事業計画を決定。昨年11月に着工した。完成は2019年度末の予定。

 見学会には約130人が参加。同課職員らが「屋根から外した瓦」「土壁の再現方法」「やぐらの骨組み」の3点について、調査で明らかになった事実や工法などを紹介した。

 屋根から外した瓦は約5,000枚で、一部を公園内に屋根の形通りに並べた。大分市細地区で焼かれた証しとして「細瓦師和作」「細安」などの印が刻まれたものもあり、同課の塩地潤一さんが「細の瓦は瀬戸内海を通って江戸に運ばれ、竹田・岡藩の屋敷にも使われるほどの人気があった」などと解説した。

 壁から取り除いた土は新しい土と混ぜて土材として再利用する。同課が古土と新土の割合を変えて調査したところ、7対3で配合すると最も割れにくいことが判明したという。過去の技術を踏襲し、粘りを出すためにわらと水を混ぜて発酵させ、約半年間、寝かせた後、竹で組んだ骨組みに約20センチの厚さに塗り込む。仕上げにしっくいで白塗りにする。

 やぐらの骨組みにはマツの木を使っており、同課では「屋根の重みを支える斜めに取り付けた杖状の木などに匠の技が見て取れる」とし、隅の柱に次の柱を近付けて立てることで強度を増す工夫があったことも確認できたという。

 市内錦町の三宅英明さん(72)は妻の節子さん(70)と参加。市の観光ボランティアとして活動している英明さんは「工事中のやぐらがどうなっているか、ずっと気になっていた。骨組みの仕事のすごさがよく分かった」、節子さんは「土壁を作る技術に感心、感動した。次の見学会も絶対に参加したい」と話した。

 見学会は今後も定期的に実施する。同課は「土壁が復元する夏ごろに開きたい。見た目も全く違って見えると思うので、参加して確認してほしい」と呼び掛ける。

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