大分市中央町のカモシカ書店で6月7日に行われた「アート&デザインの大茶会」のプレレクチャー会に、出展者の現代美術家・ミヤケマイさんが飛び入りで加わり、自身の芸術への思いなどを語った。
「アート-」は6月15日から大分県立美術館OPAM(大分市寿町2、TEL 097-533-4500)で開催。2015年4月24日の開館時にアトリウム展示を手掛けたマルセル・ワンダースさん、須藤玲子さん、ミヤケマイさんが再び集い、空間全体を芸術とするインスタレーションを展示する。
ミヤケさんは、日本の伝統美術を独自の感性で切り取り、最先端のテクノロジーと融合させる技法を用い、骨董(こっとう)、工芸、現代アート、デザインなど幅広いジャンルで物事の本質を問う作品を発表している。国内外の美術館での展示やワークショップのほか、ギャラリーなどで個展多数。京都造形芸術大客員教授。
プレレクチャー会は同館がイベントの告知を目的に4月から実施。これまでに12カ所で14回開いている。7日の回には20人が参加。同館広報室長の宇都宮壽さんの進行で19時30分から約2時間にわたって行った。
作品展示の準備で大分に訪れているミヤケさんが少し遅れて会場に姿を見せると、来場者が拍手で迎えた。ミヤケさんは「見ている人が能動的に歩み寄ると楽しめるものが多い」などと過去の作品を紹介しつつ、作風の特徴でもある「バイフォーカル(二重焦点)」について説明。同館アトリウムに展示している、2つのプールを模した「水府 覆水難収・フクスイオサメガタシ」について自然や水への思いを語った後、「プールに入るとガラスがたわんでさまざまな虹色の輪が見える。2階から見ると隣のプールにいるサメを女性ダイバーが追う姿が見える」などと解説。現代版大和絵巻の「もどる場所があるということ」についても「後ろに下がって見ることで初めて全体が見える」などと説明した。
今回の「アート-」については「モダン陰陽五行・伝統とハイテクノロジーの融合」をテーマとし、約300平方メートルの空間に「コントロール茶室」出現させると紹介した。客の待ち合わせ場所となる「寄付(よりつき)」、奥へと続く細い路地を備え、茶室では「木、火、土、金、水」の5つの空間のうちの1つにいざなう仕掛けを用意するなどと説明。「マルセルさんと須藤さんの展示は開放的で、私の展示は内省的」とし、「見えないところでハイテクを使っている。驚きと刺激を体感してほしい」と呼び掛けた。
「アート-」の会期は6月15日~7月22日。会場は1階展示室A。開催時間は10時~19時(金曜・土曜は20時まで)。入場料は、一般=1,000円、大学生・高校生=500円、中学生以下無料。初日の6月15日13時30分から1階アトリウムで出展者3人によるアーティスト・トークを行う。参加無料。定員160人。事前申し込みが必要。