大分市中心街の飲食店が、サッカーの試合で「敵地」に乗り込んでくるサポーターにドリンクや料理などをサービスする「アウェーサポーター割」を始めた。企画を考えた清水進さん(47)はラグビーの「ノーサイドの精神」にちなんで地元サポーターにも適用。「試合後にみんなで飲んで楽しんでもらい、大分のまちや人も好きになってもらえれば」と意気込んでいる。
ラーメンなどを主力とした居酒屋「RA-MEN BAR KiRARA(ラーメンバーキララ)」(大分市都町3、TEL 090-1978-7160)の清水さんが、都町仲間の「焼肉工房 シンキ」(同、TEL 097-574-6259)と共に「大分おもてなしグルメ部」を立ち上げ、8月13日からサービスを開始した。
入店時に「アウェー」を証明できれば、「キララ」では生ビールかハイボールのどちらか1杯と大分名物の鳥天(ミニ)、「シンキ」ではドリンク1杯と名物の塩タン(ハーフ)のサービス(共に約1,000円相当)が受けられる。
北海道コンサドーレ札幌のサポーターが、7月13日の試合後に1人でキララに来店したのがきっかけ。清水さんは、40代というサポーターから「アウェーではまちの空気感が分からないので飲みに出るのは不安」「コンビニエンスストアの利用でお茶を濁すケースも多い」といった話を聞き、また、居合わせた地元客とサッカーだけでなくスポーツ全般の話を楽しむ姿を見て、「アウェーサポーターに喜んでもらえる優しいまちにしたい」と強く思ったという。
清水さん自身、高校と大学でラグビー部に籍を置き、今でも別府ラグビークラブで汗を流しているラガーマン。8月10日に昭和電工ドーム大分であった大分-神戸戦で、観客が神戸のアンドレス・イニエスタ選手のプレーに拍手をしたり、大分から神戸に移籍したばかりの藤本憲明選手に声援を送ったりするシーンに「ノーサイド」と同様の空気を感じ取り、地元サポーターにもサービスを適用することにした。内容は同じだが、アウェーサポーターが利用しやすいようにあえて「アウェー」の名を残した。
「シンキ」にはこれまでもアウェーのサポーターや選手が多数、訪れており、受け入れ態勢も万全。店主の阿南実昭さん(39)は「朝4時まで開けているので時間を気にせずに楽しんでもらえれば」と話す。
「ほとんど告知していないので今シーズンはじわじわと浸透していけばいい」と清水さん。今後は「おもてなし仲間」を増やしていく予定で「大分の魅力をまちなかから全国に広めていければ」と意気込んでいる。