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大分県の「動物愛護センター」で「引き受け猫」激増 足元からの解決呼び掛けへ

譲渡飼養室で新しい飼い主を待つ猫

譲渡飼養室で新しい飼い主を待つ猫

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 大分県の「おおいた動物愛護センター」(大分市廻栖野、TEL 097-588-1122)に引き取られる猫の数が激増している。今年2月の開所から半年間の引き取り数は約1700匹で、前年度1年間に県が引き取った1820匹に並びかけるハイペース。同センターでは「愛護施設の出現で、持ち込む行動を起こす人が増えた」とみる一方で、「野良猫への餌やり禁止」といった足元からの解決をあらためて呼び掛けている。

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 同センターでは開所した2月17日から8月16日までの間に犬290匹・猫1688匹を引き取った。このうち飼い主に戻されたのは犬74匹・猫5匹、新しい飼い主に譲渡されたのは犬71匹・猫101匹で、病気などによる死が犬14匹・猫20匹。殺処分数は犬82匹に対して猫は1356匹となっている。

 猫の引き取り数は、2012(平成24)年度の2773匹をピークに減少傾向にあり、ここ3年は2000匹を切るまでに減っていた。しかし「開所後1年間」は、このままのペースでいくと約2600匹に達する可能性もあるという。同センターの佐伯久所長は「犬に対して猫の引き取り数は想定外だった」と話す。

 引き取り数が増えた要因として、同センターでは「飼い主のいない猫への餌やりや、不妊去勢手術をしていない飼い猫の外飼いによる野良猫の繁殖」を挙げる一方、「『愛護』センターの開所によって、安心して捨て猫を持ち込む人が増えた」と分析している。

 実際、引き取り数の約8割が住民による持ち込み。センターでは例年約9割が殺処分となる猫を、できるだけ多く譲渡会に回そうと本来の収容上限100匹の倍に当たる数を受け入れるなどして対応してきたが、猫の健康を管理する体制は「すでに限界。緊急事態」という。

 「引き取り数を減らす特効薬はない」としながらも、主な対策として「飼育猫や、地域で面倒を見ている野良猫への不妊去勢手術」「飼育猫の完全室内飼い」などを挙げ、日本動物福祉協会の「いぬねこ不妊去勢手術推進キャンペーン」の利用も促す。

 猫の高い繁殖力を視野に、佐伯所長は「特に子猫を増やす可能性が高い野良猫への餌やりはしないでほしい。『かわいそうだから』という視点だけでは結局は無責任な行動になる」と理解と協力を呼び掛ける。

 同センターは大分県と大分市が人と動物の共生を目的に共同設置・運営。約1万9500平方メートルの敷地に管理棟、動物保護棟、ドッグランなどを備え、犬や猫の引き取り・収容・返還、苦情や相談の受け付け、飼い主指導、避妊去勢手術、譲渡会や講習会などを行っている。譲渡会は毎週日曜に犬・猫交互に開催。引き取りを希望する場合は事前の面談と講習が必要。ドッグランも事前登録制で、利用時間は9時~16時(月曜休業)。犬の登録・相談業務は月曜~金曜の8時30分~17時15分。

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