大分アートフェスティバル2019「回遊劇場 SPIRAL」が9月20日に大分市の中心市街地で始まる。ラグビーW杯と同様、開催まで秒読みとなった16日にはガレリア竹町ドーム広場(大分市中央町1)で概要紹介や講演会などを交えたシンポジウムが開かれ、イベント成功へ機運を盛り上げた。
「回遊劇場 SPIRAL」は大分市アートを活(い)かしたまちづくり推進会議の主催。ラグビーワールドカップ2019日本大会の大分開催を盛り上げようと、W杯と同期間の9月20日から11月2日まで44日間開催する。街を劇場に見立て、国際的に活躍する現代美術作家や大分で活動するアーティストらがインスタレーション、ウオールアートを手掛け、参加型のアートイベントなどを行う。
インスタレーションは、普段は立ち入りができない大分合同新聞社旧紙庫や旧輪転機室、外国人宿泊客が見込まれるホテルなどに展示。ウオールアートでは、招待アーティストのほか公募で選ばれた県内の美術家が、街中にある建物の壁や商店街のシャッターなど5カ所を装飾する。アートイベントではアーティストによるワークショップやパフォーマンス、見どころを巡るガイドツアーなどを用意している。
シンポジウムには約100人が来場。現代美術家の岩澤有徑(ありみち)さんの基調講演や中央町商店街振興組合の森晴繁副理事長らを交えた意見交換会を行った。
初めに、ディレクターを務める菅章・大分市美術館館長が事業の概要を解説。「W杯をきっかけに、さらに渦を巻き起こしたい。鑑賞はもちろん、参加し、回遊してスパイラルを楽しんでほしい」と呼び掛けた。
岩澤さんはレンブラントホテル大分にプロジェクターやLEDを使った海にちなんだインスタレーションを展開すると説明。「展示する場所を観察して『現場』を読み取ることが重要」とした上で、「ホテルには海のない国からもたくさんの観光客が来る。日本では当たり前の海やクラゲを見たことがない人も多いと思う。作品を楽しんでもらうとともに、どのように感じたかも聞いてみたい」と話した。