大分県立美術館OPAM(大分市寿町2、TEL 097-533-4500)の2020コレクション展3「天国と地獄」が現在、同館3階のコレクション展示室で開かれている。芸術家が思い描く理想や繁栄、人間の葛藤や狂気を表した86点を展示している。
同館収蔵品の中からテーマに合った水墨画、油彩画、工芸品などを厳選。「理想郷への憧れ」「生の光と影」「豊かで健やかなることを願って」「地ゴク楽(JIGOKURAKU)」「聖なるもの」の5コーナーで紹介している。
「生の光と影」では九重町の硫黄精錬所跡を描いた「廃坑」(正井和行)、軍隊経験を基に兵役の切なさを版画で表現した「初年兵哀歌 歩哨(ほしょう)」(浜田知明)などを展示。「豊かで健やかなることを願って」は長寿や繁栄をイメージした作品を紹介するコーナーで、10の60乗を意味する単位の「那由多」を作名に入れたステンレス線による立体作品「せんまんなゆた」(熊井恭子)などの工芸品を並べている。
現代作家・真島直子さんの作品を紹介する「地ゴク楽」では、さまざまな色のひもやガーゼを絡ませた「コイ」のオブジェ、微生物の不気味さと強さを想起させる巨大な鉛筆画などを展示。「聖なるもの」では初の蔵出しとなる高山辰雄の銅版画集「聖家族」シリーズなども展示している。
同館1階で開かれている「西洋絵画400年の旅」展の観覧券の半券があれば無料で鑑賞できる(9月6日まで有効)。同館では「天国や地獄を直接表現したものではなく、連想を楽しめる作品を選び抜いた。作家それぞれの感性と豊かな想像力を味わってもらえれば」としている。
開催時間は10時~19時(金曜・土曜は20時まで)。観覧料は一般=300円、大学生・高校生=200円、中学生以下無料。9月29日まで(9月2日は休展)。