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大分市の霊山寺が遺骨を土に返す「自然葬」 時代の声に合わせ、宗派も問わず

霊山寺「自然葬」モニュメントの完成式典

霊山寺「自然葬」モニュメントの完成式典

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 大分市稙田地区にある霊山(りょうぜん)寺(大分市岡川、TEL 097-541-0162)が9月から遺骨を土に返す「自然葬」を始めた。1300年の歴史を持つ古刹(こさつ)が「土に還(かえ)りたい」「後継者がいない」といった時代の声に合わせ、宗派を問わず受け入れる。

遺骨はモニュメント内の土の部分に入れられる

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 本堂横にあった空き地を自然葬用に整備した。円形の回廊を設け、中央に象徴となるモニュメントを設置。直径約5メートル、高さ約1.5メートルのステンレス製の筒に特殊加工をした土を入れ、中心部に本尊の十一面観音菩薩(ぼさつ)像を立てた。全体の高さは約4.5メートル。大規模な自然葬の設備は大分市では初という。

 稙田恵秀住職(89)によると、戦前の土葬のように、近年は先祖たちと同様に「土に還りたい」という声が多くなっているという。一般の石墓においては後継者がおらず無縁墓や荒れ墓になるといった社会問題もあり、「時代の需要に応えるために新しい形を取り入れた」。

 火葬した遺骨を粉末状にした上でモニュメント内の土と合わせる。戒名などを過去帳に記載し、月1回の永代供養を行う。

 9日には式典が行われ、設計者の松田周作さんやボランティアスタッフら約30人が出席。雄大な自然の中に厳かに設けられたモニュメントの完成を祝った。

 石井美佐子さんのクリスタルボウル演奏に合わせて書家の松本重幸さんが「紅葉散る 自然に還る 安堵(あんど)かな」などと揮毫(きごう)。稙田住職が読経を上げた。

 寺は天台宗で創建は708年。比叡山延暦(えんりゃく)寺よりも古く、かつては最澄や空海も訪れたという。寺からは大分市内を一望でき、周囲の森林地帯は大分市セラピーロードに認定されている。稙田住職は「歴史ある寺と雄大な自然が抱えてくれる。遺族や子孫はもちろん、市民にも見守られる」と話す。ボランティアの木原寛さん(44)は「大分に住んでいる人はもちろん、全国や海外にいる人でも大分への愛着がある人も多いと思う。ゆかりの地に思いを寄せてほしい」と呼び掛ける。

 費用は1人35万円で生前予約も可能。墓じまいなどの場合、骨つぼ2つ目以降は10万円。

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