11月も下旬に入り、臼杵市などの農園では黄色いカボスの収穫が追い込みを迎えている。完熟ならではのうま味を含んでいるが、傷みが早いことなどから主に飲料用に加工される。
緑色のカボスは大分県の特産品で、全国生産量9割以上を占める。露地栽培では8月から収穫期を迎え、10月中旬から色が変わり始める。
緑色の期間に収穫できなかった実は木に付いたまま熟す。酸味は和らぎ、うま味も膨らむ。果汁歩合もおよそ40%に達するが、商品価値を保持したまま広域で流通させることは難しく市場には出回らない。多くの農園で加工用に収穫したり、自然落下を待って土に返したりする。
JA全農おおいたでは毎年11月初旬から12月初旬まで、高齢化などで収穫が困難になった農園を訪れ、熟したカボスの収穫作業に当たっている。19日はJAおおいた県南柑橘(かんきつ)選果場の職員らと共に乙見地区の農園に足を運び、飲料用に約10トンを収穫した。
1000本の木に、鈴なりに実った黄色い果実をせん定用のはさみで切り落とす。下で待ち受ける職員が実が互いに傷つけ合わないようにへたの部分に残った枝を切り取り、コンテナに収納する。
近年は完熟したカボスのニーズが高まり、菓子や酒、飲料などの関連商品が次々と開発されているという。作業に当たった職員の一人も「隠れた名品。黄色いカボスを絞った焼酎は抜群にうまい」と笑顔。