中津市出身の洋画家・糸園和三郎(1911~2001年)の生誕110年を記念した「糸園和三郎展 ~魂の祈り、沈黙のメッセージ~」が9月18日、大分県立美術館OPAM(大分市寿町2、TEL 097-533-4500)の3階コレクション展示室で始まった。油彩画やリトグラフのほか、習作や画材といった初公開資料など約80点を展示している。
大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館の主催。
糸園は1911(明治44)年生まれ。骨髄炎を患ったことから進学を断念、上京して油絵を学ぶようになった。1930(昭和5)年の春陽会展で初入選。シュールレアリスムの有力新人として画壇で注目を集めた。1947(昭和22)年からは自由美術家協会展を中心に作品を発表。人間の内面世界や心象風景を描き、戦後の洋画壇に独自の足跡を残した。
空襲の被災を逃れた初期作から晩年の作品までを4章に分けて展示。ベトナム戦争を主題とした「黒い水」と「黄色い水」の連作、実兄に思いを寄せて描いたという「阿仁の丘」、中津市立南部小のクスノキをモチーフにした「丘の上の大樹」などが並ぶ。
作品の構想を描いた習作や鉛筆画、愛用していた筆やパレットなどの画材、糸園が集めた海外作家の作品などの初公開資料も展示している。
9月23日、10月9日・23日の14時から学芸員によるギャラリートークがある。参加無料。同展観覧券が必要。
開催時間は10時~19時(金曜・土曜は20時まで)。観覧料は一般=800円、大学生・高校生=500円、中学生以下無料。10月31日まで