玉太りのいい黄色のカボスをアピールするイベント「ゆふいん完熟かぼす祭り」が12月2日、由布市湯布院町で開かれた。主催は、由布院温泉観光協会、由布院温泉旅館組合、大分県農業協同組合、全国農業協同組合連合会大分県本部から成る実行委員会。
緑色のカボスは大分県の特産品。ハウスや露地もの、貯蔵ものが通年出回っており、全国生産量の9割を占める。露地栽培で収穫できなかった実は10月中旬から色が変わり始め、木に付いたまま熟す。緑色の果実よりも酸味は抑えられ、うまみも増す。緑種に比べ約40%大きくなることから、より多くの果汁を得ることができる。
一方、商品価値を保持したまま広域流通させることは難しく、県内流通がほとんど。生産者の高齢化も進んでおり、自然落下を待って土に返したりしている。
イベントはそうした完熟カボスの希少性と魅力を県内外に広め、廃棄されるカボスを活用し、生産者の収益向上につなげる目的で初めて開催。当日は9時からJR由布院駅前で開会式を行い、観光客らに300個を無料で配ったほか、搾った果汁を入れた豚汁300杯も振る舞った。
東京から観光で訪れた60代の女性は「父が中津出身でいろいろと大分の話を聞いていたが、黄色いカボスの話は聞いたことがなかった。甘くて爽やかで驚いた」と話していた。
実行委員会では来年以降も開催を予定している。「この時期ならではの大分の新しい魅力を広めていきたい。湯布院リピーターの増加を図り、地域振興にも貢献できれば」と担当者は話す。