新型コロナウイルスの影響で消費が縮小した大分県のブランド和牛と地鶏の販路拡大や知名度アップを目指し、関係者が一丸となり、インターネットで資金を集めるクラウドファンディング(CF)の活用を始めた。セット販売、ブロック売りのほか一般販売はしていない「幻の」地鶏ハムなどを用意し、「買って、食べて、知ってほしい」と協力を呼び掛けている。
「おおいた和牛」は豊後牛の最高級品。「肉質は4等級以上」「コメとビールかすで育成」などを認定基準とする。ウコッケイなどを交配して開発した「おおいた冠地どり」は、一般的な地鶏と比べてやわらかい肉質が特徴。ともにブランド高級肉として、主に県内では別府や湯布院をはじめとする主要観光地、県外では福岡や関西圏などで消費されている。
JA全農おおいたによると、コロナ禍で外食産業などが打撃を受け、こうした高級肉の需要が全域的に激減。「おおいた和牛」は2~3割減、「冠地どり」は最大半減の値崩れを起こした。生産者らからの「出荷せずに育て続けられない。売れる価格で手放すしかない」といった声に行政、食肉業者、大分県豊後牛流通促進対策協議会、おおいた冠地どり銘柄協議会、JAグループ大分、JA全農おおいたなどが協議。互いに連携する形でクラウドファンディングの活用が決まった。
プロジェクト名は「おうちでおおいた和牛&冠地どり」。返礼品は3,000円~10万円の幅で18種類を用意した。和牛はバラ、もも、切り落とし、霜降り、赤身のほか1.8キロのブロック肉(2万円)など。「冠地どり」ではもも肉や胸肉に、業務用のみで流通するコールドハムの詰め合わせ(5,000円ほか)も加えた。いずれも贈答用に利用できる。手数料はかからず、支援金は全て返礼品の購入と発送に充てる。8月3日から順次、冷凍発送する。
7月10日から実施。期間は8月2日までで、目標金額は1,000万円。専用ページには「オール大分」が伝わるように生産者や販売者の写真や動画を掲載した。クラウドファンディングに合わせてツイッターに実行委員会のアカウントも開設し、フォローとリツイートをすると抽選で5人に4,000円相当のおおいた和牛や冠地どりが当たるキャンペーンも始めた。
事務局のJA全農おおいた直販開発課では「送料を含めれば支援額の設定は割安。県外から食べに来られない状況なので、家庭で存分に味わってもらえたら」とする。同課の二宮広和さんは「大分のブランド肉を知らない人はたくさんいると思う。これを機に広められれば」と話している。