今年の「臼杵祇園まつり」の当番を務める横町と唐人町が6月16日、久家の大蔵(臼杵市臼杵)で「祇園ばやし」を共演した。コロナ禍で祭りの巡行行事は3年連続の中止が決まっており、来年開催への思いを乗せた音と熱気で集まった市民らを喜ばせた。
1643年から続くという、毎年7月中旬に開かれる臼杵最大の夏祭り。県指定無形民俗文化財で、日田、中津と並ぶ大分の「三大祇園」の一つ。8町のうち当番の2町の10~40代が山車とおはやしを披露し、渡御と還御では神事の行列や山車などが練り歩く。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため2020年以降、みこし、山車、行列は中止。今年も八坂神社で悪疫退散祈願祭のみを開催することになった。
2020年の当番町だった横町と唐人町の見せ場も再々延期に。例年であれば、6月はおはやしの濃密な稽古期となるがこの2年は集まることさえできず、後進への引き継ぎもままならなかったという。
今年は中止濃厚の報を受け、2町で協議。「3日間だけでも音を出そう。自分たちの腕を確認し、市民に聞いてもらおう」と、3年ぶりに倉庫から鳴り物を引っ張り出すことにした。
おはやしは6月14日・15日はそれぞれの町で披露。最終日の16日は横町に唐人町が合流し、19時からそれぞれの調子で太鼓や鉦(かね)、拍子木を打ち鳴らした。
夜の会場に「チリンチリン、チリンチリン」「ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ」と祭りならではの音と熱気が満ちると、続々と市民らが来場。おはやしを聞きながら育ったという横町の40代女性は「この音が夏への合図。やっぱり臼杵には欠かせない」と笑顔を見せた。
横町からは12人が参加。持ち場を替わりながら息の合ったはやしを披露した。若衆の芦刈第吉さん(39)は「地域のため、若い人のため、子どもたちのために」とばちさばきに3年分の力を込めた。
唐人町は魅せる暴れ太鼓が特徴。連長の長野誠さん(43)は「見てもらうことで自分たちもアドレナリンが出る」と汗だくに。「続く延期に勧誘する声も出しにくくなっている。子どもたちにこの熱気が伝われば」と伝統の継承にも思いを寄せた。
「臼杵祇園まつり」は7月17日・23日に神事、7月17日・20日・22日に神楽を予定する。