昆虫食の開発を目的に活動する立命館アジア太平洋大学(APU)の学生チーム「モリノエビ」が食用コオロギのパウダーを練り込んだ麺とジビエスープで作る「モリノエビラーメン」を開発した。別府大学講師とラーメン店主と共に作り上げたオリジナルの一杯で、10月3日に別府市の「NOODLE FACTORY LIFE(ヌードル ファクトリー ライフ)」(元町5)で、一日限定で提供する。
チーム代表の若林快卓さん(2年)は静岡での高校時代に、食糧危機が懸念される未来の食材として昆虫が取り上げられていることを知り、「昆虫食」に興味を抱いたという。進学後も研究や開発に取り組み「昆虫食仲間の輪」を学内のほか、別府大、大分大、慶應義塾大にも広げてきた。
ラーメン開発は「食糧問題を考える一つに契機になれば」と今夏に企画。ジビエ研究に携わる別府大学食物栄養科学部講師の加藤礼識さんと、ジビエラーメンなどの提供経験がある同店店主の山本智裕さんの協力を得た。テーマを「美味しく食べてSDGsに貢献」とし、加藤さんが入手していた食用コオロギのパウダーを麺に練り込み、シカ肉をベースとしたスープに合わせて提供することにした。若林さんは「野生鳥獣も昆虫も人気はないが食べれば地球を救える食材」と話す。
山本さんがコオロギパウダーと小麦粉の配合や麺の太さなどを変えながら数種類を製麺。スープとのバランスを考えながら完成させた。麺は、そばに似た色と太さで、加藤さんは「ツルツルとした舌触りとエビなどの甲殻類を感じさせる風味が特徴。完成度はとにかく高い」と満足げ。山本さんは「コオロギパウダーの割合は5%がちょうど良かった。若林さんの思いを形にすることだけを考えて作った」と話す。
提供するのはラーメンとつけ麺の2種。トッピングは鹿ロースのチャーシューなど。昆虫食に抵抗がある人にも興味を持ってもらおうとコオロギを「森のエビ」と表現した。試食したメンバーの沼沢杏さん(APU)は「麺は癖はなく香ばしい。あっさりスープとの相性も良かった。見た目はもちろん、食べてもはコオロギやジビエは想像できない」と話す。
加藤さんによると食用コオロギは栄養バランスが良く、生産時の環境負荷が小さいとして国内外で飼育や商品開発が行われているという。若林さんは「今後はコオロギ麺を活用したお菓子などを作って子どもたちに配りたい。昆虫食が一般の人に広がっていけば」と期待する。
10月3日は「コオロギ」との語呂合わせで限定56杯を用意。ラーメン、つけ麺共に1杯900円。当日15時から21時まで先着順に提供する。