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大分市のラーメン店「嫁の中華そば」営業再開 作り手「嫁」が療養を経て復活

チャーシューの仕込みをする美保さん

チャーシューの仕込みをする美保さん

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 大分市のラーメン店「嫁の中華そば」(大分市府内町2)が9月13日、約1カ月ぶりに営業を開始する。調理を一手に担う笠原美保さん(39)が病気療養から復活。周囲への感謝を胸に再び厨房(ちゅうぼう)に立つ。

再開について話し合う美保さん(左)と釘宮さん

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 2017年11月11日にオープン。宮城県で生まれ育った夫・貴博さんが好む喜多方ラーメンの流れをくむ「しょうゆだれ×平打ち縮れ麺」が特徴で、開店直後から行列のできる人気店となっている。

 美保さんに異変が見つかったのは昨年12月。特定検診を受けた際、子宮に病巣があることが分かった。4月に手術を受け、6月にも再び手術台に上がった。「初めは少し切るだけで済むはずだったが、病理検査で子宮頸(けい)がんだと分かった。結局、2度目で全摘出した」

 約1カ月かけて心と体のダメージを回復。7月17日に店を再開した。その後は体調も良く、夏用の新メニューを登場させるなどしたが、合併症の影響で高熱を出し8月10日に再入院。「仕込みから始まる10時間の立ち仕事でも平気で、体力には自信があった。しかしさすがに今回はきつかった」とし、体力が完全に戻るまで再び休養を取ることにした。

 2度の入院中、長女(1)の面倒を貴博さんと周りの人たちで見た。同店パート従業員の釘宮千秋さん(45)は笠原夫妻と家族ぐるみでの付き合いがあり、保育士の資格も持っている。貴博さんが体調を崩した際は子供を預かり、熊本の実家に連れて行くなどして2人を支えた。「美保さんの病気を聞いたときに、当人よりもすぐに子供のことが気になった」と振り返る。

 療養中、美保さんは家族とゆっくり過ごし、忙しくてできていなかった原価の詳細な計算、新メニューの開発などに時間を当てた。知り合いや知人からは励ましの声も多数寄せられたという。「フェイスブックページに、名前と顔が分からない恐らくお客さんと思われる人たちもたくさん書き込んでくれた。本当にうれしかった。感謝しかない」とかみしめるように話す。

 体力も戻り、8月末には9月13日を復活日と決め、現在、再開準備を進めている。5月中旬から不定期で開いてきた夕方からの営業も毎週水曜に固定するなど、新たなスタートに力も入る。美保さんは「流れに身を任せて生きてきたのでこれはこれで一つの運命と考えている。支えてくれた人たち、待っていてくれる人たちへの思いを忘れずに、前を向いて頑張っていきたい」と笑顔を見せ、決意も新たにしている。

 メニューは定番の「中華そば」(680円)、味付け卵をのせチャーシューを増やした「嫁の推しメン」(880円)、豚ベースの透明スープ使った「旦那の推しメン」(同)、冷やしラーメンの「冷たい嫁」(780円)など。

 営業時間は11時30分~15時30分(水曜は昼11時30分~14時30分、夜17時~20時30分)。休みはフェイスブックページの営業カレンダーで公開する。

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